知的財産法 後期第10回
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今日の課題:意匠権侵害であると言われたらどうしますか?
授業での演習
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意匠権
発生
第二〇条 意匠権は、設定の登録により発生する。
存続期間
(存続期間)
第二十一条 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。
意匠権の効力
第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
登録意匠→意2②、意匠→意2①
実施→意2③、存続期間→意21(登録日から25年)
差止請求権
第三十七条 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項 に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
3 第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。
意匠権侵害に基づく損害賠償請求権
意匠権侵害に基づく損害賠償請求の法的性質は民法709条以下の不法行為に対する損害賠償請求
民法709条による損害賠償請求の要件事実は下記のとおりである。
イ 権利又は法律上保護される利益(特許発明)の存在
ロ 当該権利の侵害(違法性)
ハ 侵害行為が故意又は過失によりなされていること
(意匠法40条・・過失の推定)
ニ 相当因果関係のある損害の発生とその額
(意匠法39条・・損害額の推定)
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第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
意匠権侵害の要件
意匠法第23条の反対解釈から
1)権原なく、
2)他人の登録意匠またはそれに類似する意匠を、
3)業として実施をする行為
は、意匠権を侵害することになる。
侵害とみなす行為
第三十八条 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
登録意匠の範囲と判断基準
第二十四条 登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。
2 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。
1項・・意匠の同一・類否判断の基準的客体
2項・・意匠の類否判断の主体・・需要者
特徴記載書の扱い
意匠法施行規則(特徴記載書の様式等) 第六条 意匠登録を受けようとする者又は意匠登録出願人は、意匠登録を受けようとする意匠又は意匠登録出願に係る意匠の特徴を記載した特徴記載書を、願書を提出するとき又は事件が審査、審判若しくは再審に係属しているときは、提出することができる。
2 特徴記載書を提出するときは、様式第九によらなければならない。
3 登録意匠の範囲を定める場合においては、特徴記載書の記載を考慮してはならない。
意匠権の効力が及ばない範囲
第三十六条 特許法第六十九条第一項及び第二項 (特許権の効力が及ばない範囲)・・・・の規定は、意匠権に準用する
(特許権の効力が及ばない範囲)
特許法第六十九条 特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。
2 特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。
一 単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物
二 特許出願の時から日本国内にある物
権原・・・・実施権
専用実施権(意27)
通常実施権(意28)
法定通常実施権
先使用による通常実施権(意29)
先出願による通常実施権(意29の2)
職務意匠による通常実施権(意15③、特35)
意匠権の移転の登録前の実施による通常実施権(意29の3)
無効審判の請求登録前の実施による通常実施権(意30)、
意匠権等の存続期間満了後の通常実施権(意31,32)、
通常実施権の設定の裁定(意33)
先使用による通常実施権
第二九条 意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際(第九条の二の規定により、又は第十七条の三第一項(第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、その意匠登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの意匠登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
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よって、
願書の記載及び願書に添附した図面等(特徴的記載を除く)で既定される登録意匠の範囲を基準に、需要者の立場にたって類否判断をする。
審査における意匠の類否判断の手法
と裁判における類否判断の手法
審査における意匠の類否判断の手法
(1)意匠の類否判断の観点
意匠審査において、類否判断は次の(ア)~(オ)の観点によって行われる。
(ア)対比する両意匠の意匠に係る物品の認定及び類否判断
(イ)対比する両意匠の形態(基本的構成態様と具体的構成態様)の認定
(ウ)形態の共通点及び差異点の認定
(エ)形態の共通点及び差異点の個別評価
(オ)意匠全体としての類否判断
裁判における類否判断の手法
自走式クレーン事件
本件意匠の基本的構成態様と、本件意匠の具体的構成態様を特定し、
イ号意匠の基本的構成態様と、イ号意匠の具体的構成態様を特定し、
本件意匠において看者の注意を惹く点即ち要部を認定し、
そして、本件意匠とイ号意匠とを対比した上で、要部において、一致点、差異点を比較し
類否判断を行う
裁判例における意匠の類否判断の具体的な手法
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部分意匠の保護に関する研究
部分意匠の類否判断の事例
利用関係他人の登録意匠等との関係
第二十六条 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。
他人の登録意匠等との関係
第二十六条
2 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。
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対比図面
登録第28477号意匠
被告意匠
意26条にいう「意匠の利用」とは
意匠の利用とは、ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する関係にある場合をいうものと解するのが相当である。
意匠の利用関係が成立する態様
1)意匠に 係る物品が異なる場合であり、A物品につき他人の登録意匠がある場合に、これと同一又は類似の意匠を現わしたA物品を部品とするB物品の意匠を実施するときである。(部品・完成品の関係)
2)意匠に係る物品が同一である場合であり、他人の登録意匠に更に形状、模様、色彩等を結合して全体としては別個の意匠としたときである。 右のいずれの場合であつても、意匠中に他人の登録意匠の全部が、その特徴が破壊されることなく、他の部分と区別しうる態様において存在することを要し、もしこれが混然一体となつて彼此区別しえないときは、利用関係の成立は否定されること を免れない。
意匠の類否問題と意匠の利用問題
意匠の利用関係の有無は、双方の意匠が全体観察においては非類似であることを承認しつつ、一方の意匠中に他の登録意匠の全部が包含されているか否かを問題とするもの
部分意匠の利用関係
先願登録意匠と、後願登録意匠が非類似であることが前提
先願登録意匠・・部品
後願登録意匠・・上記部品の形状を実線部分とする部分意匠
後願登録意匠を実施したところ(完成品)、先願登録意匠の部品を実施する状態となった場合
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問い
軽井沢高原ビールの缶のパッケージデザインが意匠登録されていたとする。
軽井沢浅間高原ビールのパッケージデザインは、その意匠権を侵害するか。
第4回の授業と同じような質問ですが・・・。
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問い
バリケード用錘事件において、被告製品は原告意匠権を侵害するか。
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